でも、ちょっと騒ぎすぎだよぉ…
円安が進む今の状況をしっかりと知っておかないと大変な事になってしまいますよ!
最近ニュースや新聞でも問題になっている「円安問題」。
「もう…また同じ事ばっかり言ってるのね…早く景気が回復すればいいのに…」なんて思っていませんか?
実は、今の日本経済はあなたが思っているよりも危機的な状況なんですよ。
いつまでも楽観的に思っていると、いつか取り返しのつかない状況になってしまうかもしれません。
まずは、今の状況がどんな事になっているのかを知っておく必要があります。
そこで今回は『楽観的ではいられない!日本経済を待ち受ける"最悪な未来"とは!?』と題して、深刻な円安が与える影響や、今の日本経済の状況について説明していきたいと思います。
しっかり知っておかないと、後で後悔する事になってしまいますよ。
深刻な「約20年ぶりの円安水準」の背景
2022年、足元の外国為替市場で、急速な円安が進みました。
4月20日の東京時間の朝方には、1ドル=129円台までドル高・円安が進行。
約20年ぶりの円安水準。
アジアや欧米、さらにロシア・ルーブルなどの通貨と比較しても、円の弱さは際立っている。
この深刻な「約20年ぶりの円安水準」の背景にはどういった原因があるのでしょうか。
円安の原因は"金利差の拡大"
この円安の直接の原因は、欧米諸国との"金利差の拡大"にあります。
金利の高い通貨は、磁石で引き付けるように資金が集まるので、どうしても通貨が強くなる傾向がある。
一方で、円のように金利の低い通貨は敬遠されるため、弱くなりやすいんですね。
日本経済の凋落が深刻化
金利差拡大の背景に、日本経済の凋落が深刻化しているという事を忘れてはいけません。
1990年代初頭の資産バブル崩壊後、日本では資産価格の急速な下落や不良債権問題の深刻化などに直面しました。
経済と社会全体で、必要以上にリスクを恐れる心理が高まった。
企業や個人が新しい取り組みを進める事が難しいと感じる雰囲気が日本全体に充満したといってもいい。
その状況下で、政府は労働市場の改革などを進めて潜在成長率を引き上げるよりも、基本的にはゼロ金利政策などの金融緩和によって景気を支えようとしたワケですね。
その結果として、成長期待の高い新しい産業が育たず、産業構造の転換が遅れてしまったという事がある。
近年では電気自動車(EV)などによって、経済の大黒柱だった自動車産業の競争力低下に対する心配も高まっていきいます。
また、エネルギー政策の転換も遅れている。
そのため、当面の間は米ドルなどに対して円安は進むでしょう。
それによって輸入物価は上昇していき、国内の消費はさらに減少する可能性が高くなります。
企業のコストも増加し、経済成長率低下の懸念が高まる。
やや長めの目線で考えると、日本経済の実力はさらに低下してしまうかもしれません。
自動車・半導体・家電・金融など、あらゆる分野で負けるようになる!?
円安が加速している最大の原因は、日本経済の実力低下です。
1980年代の日本は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と称されるほど経済の実力は高かった。
自動車や半導体、家電や金融など、多くの分野で本邦企業の競争力が向上した結果、1987年には日本の1人あたりのGDP(国内総生産)は米国を抜いて上位に。
ところが、1990年に株式バブルが崩壊し、91年には不動産の価格が下落して"資産バブル"が崩壊。
それを境に、日本経済の実力はどんどん低下していく。
バブルの崩壊によって資産価値は急速に下落し、不良債権問題が深刻化。
不良債権処理の遅れから1997年には金融システム不安が起き、日本経済は長期の停滞に陥る事になります。
バブル崩壊と同じ時期に、日本を取り巻く世界経済の環境も激減しました。
いわゆるグローバル化の加速です。
これも日本はグローバル化に取り残された。
1990年代の米国ではIT革命が起き、情報通信分野の競争が激化。
企業のビジネスモデルは変化し、モノの生産といったハードからソフトウェアの設計・開発に集中する企業が増えた。
また、中国・韓国・台湾などの新興国が経済成長を遂げ、製造技術面でのキャッチアップが進んだ。
この時期から、自動車・半導体・家電・金融など、あらゆる分野で日本は負けるようになってくるんですね。
世界で広がる分業化にも対応できない
2000年代に入ると、アップルは米国では新しい機器の設計や開発に集中し、世界各国から優秀な部品を集めて台湾の鴻海精密工業参加の中国企業フォックスにユニット組み立て型の生産を委託する体制を確立。
国際分業の加速は米国のIT先端企業の事業運営の効率性の向上に決定的な影響を与えた。
また、中国は安い価格と豊富な労働力を武器にして、世界の工場としての地位を確立。
一時は中国がデフレを輸出していると言われる状況もありました。
台湾では、米国のアップルやエヌビディアなどが設計・開発したチップの生産を台湾積体電路製造(TSMC)が受注し、世界最大のファウンドリーの地位を揺るぎないものにしている。
1980年代にトップシェアを誇った日本の半導体産業は環境の変化に対応できず、競争力を失ってしまっています。
ここでも、世界で広がる分業化に対応できなかったというワケなんですね。
構造改革よりも雇用の保護を優先した結果
本来であれば、政府はバブル崩壊後、迅速に不良債権処理を進め、成長期待の高いIT関連などの先端分野にヒト・モノ・カネの生産要素がダイナミックに再配分される経済環境を整備しなければいけませんでした。
でも、日本ではそれが難しかった。
政府は構造改革よりも雇用の保護を優先し、1997年度までは公共事業関係費を積み増しをした。
ただ、インフラ整備が一巡した日本において公共事業を積み増したとしても、波及需要の創出効果は限られます。
ハコモノの建設や道路の整備といった公共事業の増加は、潜在成長率の持続的な回復にはつながらなかったんですね。
その後は現在至るまで、一時的に政策金利が引き上げられた時期をはさみ、ほぼ一貫してゼロ金利政策をはじめとする金融緩和によって景気の持ち直しを目指している。
金融緩和の本質は、需要の前倒しにあるといえる。
金利低下によって消費者や企業経営者の心理は一時的に上向き、モノやサービスの購入や設備投資は増える可能性がある。
それによって政府と日銀は、いずれ景気は回復すると考えた。
構造改革を怠ったツケが顕在化している
別の目線から考えてみると、労働市場の流動性向上などの抜本的な改革は先送りされ、経済の実力向上が難しい状況が続いている。
特に金融システム不安の発生後は国内経済の停滞が深刻化した。
企業は生き残りをかけてコストを削減しなければいけなくなったんです。
その1つとして雇用の削減がある。
雇用損失の受け皿として、企業は非正規雇用を増やした。
正規、非正規雇用者の所得格差などは拡大し、内需は落ち込んだ。
2004年には人口がピークをつけ、その後は少子化、高齢化、人口減少が3つ同時に進み、経済の縮小均衡化が加速している状態に。
さらに近年では新型コロナウィルスの発生で経済成長率も下押しされている。
また、コロナ禍によって、日本のデジタル化の遅れが深刻だという事も明確になった。
その上、ウクライナ危機が発生して、天然ガス・原油などのエネルギー資源や木材、魚介類や小麦等といった食料品などの価格も上昇している。
その一方で、個人消費は弱く、販売価格を上げるのも難しい。
構造改革を怠ったツケが今まさに顕在化しているんです。
「悪い円安」が進むと何が起こるのか?
さらなる円安の進行によって、日本経済への悪い影響は増えていくでしょう。
日本経済の実力凋落を深刻に考える投資家は増えている。
そのため、外国為替市場では円の先安感が高まり、政府・日銀の口先介入にもかかわらず129円台までドル高・円安が進んだ。
日米の金融政策の方向性の違いから、内外の金利差が拡大している事も円安圧力を強める要素です。
当面は不安定な動きをしつつ、円安の流れが一段とハッキリしてくる可能性が高い。
この「悪い円安」が進むと何が起こるのか?
世界経済の供給制約の深刻化を背景とする資源や食料などのモノやサービス価格の上昇と、円の先安感の高まりが掛け合わされ、日本の輸入物価はさらに上昇していくと考えられる。
そもそもの資源がない日本にとって、その打撃は計り知れない。
1つのシナリオとして、企業はエネルギー資源や化成品などの価格上昇に直面する。
企業のコストは増加の一途をたどり、収益は圧迫される。
徐々に価格変更を余儀なくされる企業が増えていき、国内の個人消費はガクンと落ち込む展開が予想される。
中には需要創出のために新商品の開発体制を強化していく企業も出てくるでしょうが、そうした動きは一部の企業にとどまるでしょう。
「給料は下がるのに物価は上がる」という最悪の展開が訪れる
こういった流れが予想できる中、過去の発想から抜け出せず、稼ぎ頭となる議場の確立が難しい企業は多い。
本邦企業の業績は悪化して、経済成長率も低下するでしょう。
内閣府によると2021年10~12月期の需要ギャップはマイナス3.1%と推計されていて、需要不足の状況が続いている。
さらに、円安による輸入物価の押し上げによって日用品などの価格は上昇し、需要ギャップのマイナス幅は拡大する事に。
この展開が現実となれば、企業実績はさらに悪化し、潜在成長率が低下してしまう。
日本経済が低下すれば、当然、国内の給料は減少する。
世界的な供給制約の深刻化によってモノやサービスの価格が上昇し、それと同時に給料が減少する…
「給料は下がるのに物価は上がる」という最悪の展開が訪れてしまっては、家計にとってもかなり苦しい。
円安の影響で、支出を見直して生活の質を下げる事を余儀なくされる家計は増えるでしょう。
その結果、日本経済の凋落ぶりが鮮明になり、円の先安感もさらに上昇するという負の連鎖が起こってしまうのです。
この状況下で生き残っていくためには?
この状況下で生き残っていくためには、自分で稼ぐ能力が必要になってきます。
まずは自分の資産状況を把握しましょう。
家計を見直し、無駄な出費などをなくしていく事が大切になりますね。
無駄な出費を抑えるためのコツとしては以下の記事でも紹介しています。
そして余剰資金があれば、全額貯金するのではなく、株式や投資信託などにまわして少しでも稼ぐ能力を身につけるべきです。
少額ずつでもいい。
今からでも資産運用を始めていく必要性があるというワケなんですね。
資産運用に必要性についてはコチラの記事でも紹介しています。
今はまだ他人事のように感じるかもしれませんが、日本経済の危機はもうすぐそこまで来ているんです。
後で後悔しないためにも、今できる事を実行して、自分で稼ぐ能力を身につけておきましょう。
まとめ
さて、今回は『楽観的ではいられない!日本経済を待ち受ける"最悪な未来"とは!?』と題して、深刻な円安が与える影響や、今の日本経済の状況について説明しました。
この記事をまとめると以下の通り。
・円安の原因は「金利差の拡大」と「日本経済の実力低下」
・構造改革よりも雇用の保護を優先した結果、国内経済の停滞が深刻化した
・円安が進む事で「給料は下がるのに物価は上がる」という事が起こる
・景気低迷の中で生き残っていくには、自分稼ぐ能力を身につける必要がある
新聞やニュースで「急速な円安が…」と言っていますが、詳しく知ればかなり大変な事になっているのが分かります。
昔は日本も経済的に有利だったかもしれませんが、現在では他国に抜かれて経済危機に陥ろうとしている状態なんですね。
こんな状況を生き残っていくためにも、"自分で稼ぐ能力"を身につける必要性があるのではないでしょうか。