企業や株主に嬉しい効果の「株主還元」とは!?種類や計算式を紹介

カブエ

お気に入りの企業に投資して応援してるんだけど、何だか欲しいよねぇ…見返りが…

かぶらば先生

確かに、せっかく投資してるんだから、そんな気持ちになっちゃいますよね。
でも大丈夫!
株主還元といった嬉しいものがあるんですよ♪

 

「もう…せっかく応援してるんだから、何かくれたっていいじゃないっ!」

投資をしていると心のスミに湧き上がる、この気持ち。

企業を応援してその配当がもらえるんだから、あまりワガママ言っちゃいけないのは分かっているけど…

仕方ないじゃない…

人間だもの。

でも、実はそんなアナタのワガママを叶えるステキな「株主還元」というものが存在します。

この「株主還元」、株主の人達にも嬉しいものですが、その企業にとっても嬉しい効果があるんですよね。

そこで今回は『企業や株主に嬉しい効果の「株主還元」とは!?種類や計算式を紹介』と題して、株主還元について詳しく説明していきましょう。

 

株主還元とは、どんなものなのか?

かぶらば先生
株主還元とは、企業が事業によって獲得した利益を株主に還元する事です。
企業に出資してくれている株主たちへ、企業からの形ある感謝のお礼が「株主還元」ですね。
この主な還元方法として、以下のモノがあります。
主な還元方法
配当(増配)
株主優待
株式分割
自社株買い

配当(増配)

かぶらば先生
増配とは、配当金を増やす事です。
この増配ですが、株主は配当として受け取る金額が増えるので、株主還元の1つだと言う事ができるんですね。
しかも、増配を発表すると「ヤダ、すごぉいっ!この会社、儲かってるのぉ!?」と思われ、株式が買われる傾向にあり、株価も上昇する事が多いんです。
元々の株主は、その増配によってさらに株価上昇という恩恵も受けられるワケなんですね。

株主優待

かぶらば先生
株主優待とは、企業が株主に自社サービスの割引券や商品などを無料でプレゼントする事です。
「こんなにも私のために尽くしてくれてるんだからぁ…お礼にいいモノ、あ・げ・る♡」というのが株主優待。
ただ、全ての企業が行っているワケではなく、上場企業の約4割が株主優待を設けています。
優待には、その企業の主流商品である「自社グループ製品詰め合わせ」や「買物優待券」、「施設利用割引券」なんてものもありますね。
「この株主優待が目的で株式を始めた」という人もいるくらい人気の株主還元。
中にはかなりお得な株主優待を出している企業もあるので、HPなどでチェックしてみるのも面白いかもしれませんね。
ちなみに、四季報の巻末にも株主優待の一覧が載っていますよ。

株式分割

かぶらば先生
株式分割とは、株式を分割して発行する株式の流通量を増やす事です。
「ん?株式を分割したら、株主は損しちゃうんじゃない?」と感じる人もいるでしょう。
そもそも、どうして株式分割が株主優待になるのか疑問ですよね。
その理由を少し見てみましょう。

理由①:投資ハードルが下がる

ここで少し例を挙げてみましょう。
カブエさんが企業Aの株式を保有していたとします。
企業Aは1:2の株式分割を発表しました。(※1つの株式を2つに分割)
分割前の企業Aの株価を10,000円、発行済株式数を1億株とします。
この例の場合だと、分割前・分割後の企業Aとカブエさんの資産状況は以下の様になります。
分割前・分割後の資産状況
企業A 投資家(カブエ)

秘書
分割前っ!
株価:10,000円
発行株式数:1億
時価総額:1兆円
最低購入金額:100万円
保有株式数:100株
資産:100万円

秘書
分割後っ!
株価:5,000円
発行株式数:2億
時価総額:1兆円
最低購入金額:50万円
保有株式数:200株
資産:100万円

 

これから見ても分かるように、株式分割をしても企業Aとカブエさんの保有株の価値は変わりません。

でも、最低購入金額が100万円から50万円に低下する事で、企業Aへの投資ハードルが下がります。

購入金額が下がると、その株を買いやすくなりますよね。

「やだっ…お得だから早く買わなきゃっ💦」と思った多くの投資家が企業Aの株を買い、分割後に株価が5,000円から5,100円に上昇したとしましょう。

すると、元々株主だったカブエさんの資産は100万円から102万円に増えるので、カブエさんは株式分割による利益を得られるというワケなんですね。

 

理由②:増配になる

さらに言えば、分割後も配当金を据え置く企業が多いといった傾向があります。

上の表のような株式分割が行われると、投資家の保有する株式数は倍の200株に。

配当金が据え置かれた場合、分割前の2倍の配当を受け取られるので、実質的にも増配となるワケですね。

 

これら2つの理由から、株式分割は株主還元の1つだと考える事ができます。

注意事項
・ 株式分割をしても投資家の"買い"が増えなかったり、減配される場合もあります。
必ず利益が出るという結果になるワケではないので注意してください。

自社株買い

かぶらば先生
自社株買いとは、企業が自社の株を買い戻し、市場での流通量を減らす事です。
自社株買いを行った後で株式を消却すると、発行済株式数を減少させる効果が。
もし株式を消却しない場合は、基本的にそのまま企業が保有します。
この企業が保有し続ける株式の事を「金庫株」と呼ぶんですね。
企業が金庫株を保有する目的は以下の2つがあります。
企業が金庫株を保有する目的
株式交換によるM&A
⇒ほかの企業を買収する「M&A」の際に、自社の株式を被買収企業の株主に割り当てる方法をとるためです。
その時に割り当てる株式を金庫株から捻出する事ができます。

 

ストックオプションへの利用
⇒ストックオプションとは、企業の従業員があらかじめ設定された金額で自社の株式を購入する権利の事。
企業は従業員のモチベーションを高めるために、このストックオプションの制度を利用します。

 

どうして自社株買いが株主還元になるのか?

「もぅ…どうして自社株買いが株主還元になるのぉ?」と感じる人も少なくないと思います。

そもそも自社株買いが株主還元になるのは、株価上昇をもたらす効果があるからなんですね。

この株価が上昇しやすい理由としては以下のものがあります。

理由
株価割安のアナウンス効果
EPSの上昇
株価割安のアナウンス効果

主に企業は資金調達を目的に上場しますよね。

もし自社の株価が適正価格から割高の場合ならそのまま市場に流通させておいて、必要に応じて資金調達をすればいいんですが…

これが割安だった場合は変わってきます。

企業が自社の株価が割安だと考える時は、自社株買いをする事で「へへっ、ダンナ…今ウチの株価は安いんですよ…」とアナウンスメントを出す事ができます。

そうなると「企業が自社の株を割安だと判断しているなら、今が買い時だ!」と多くの投資家が考えるので株価上昇にもつながるワケですね。

これをアナウンス効果とも呼ぶんです。

EPSの上昇

自社株買いによって市場の株価流通量が減少すると、1株の価値が上昇します。

するとEPSが上昇して、PERが低下します。

その結果として、投資家から高く評価されるので、株価が上昇する傾向にあるんですよね。

これらの指標の数値を割り出す計算式は以下の通り。

EPSの計算式
当期純利益÷発行済株式数=EPS(円)
PERの計算式
株式÷EPS=PER(倍)

かぶらば先生
EPSは、"1株あたりどれだけの利益を稼いでいるか"を知るための指標です。
PERは、"株価が1株当たりの利益(EPS)に対して割安か・割高か"を知るための指標です。

 

これ、PERが低いほど割安だと判断ができます。

他にも自社株買いによってROEの向上やPBRの低下などが期待できたりするんですね。

「ROE?PBRって何なの!?」と言う人には以下の記事で詳しく紹介していますよ。

 

株主還元に力を入れている企業を探すには?

「ねぇ…株主還元に力を入れている企業を探すには、どうやったらいいのかしら?」って思うでしょう?
この株主還元の度合いを示す指数に、総還元性向と言うものがあるんですよね。

かぶらば先生
総還元性向とは、純利益に対してどれほど配当を出して、自社株買いを行っているかを表す指標の事です。
総還元性向の高さを調べれば、株主還元にどれほど力を入れているかが分かります。
ただ、総還元性向の大きさは企業の成長フェーズによって変わるという事には注意が必要になりますね。
一般的に、設備や人材、マーケティング投資に力を入れたい新興企業は比較的還元性向が低く、ある程度成熟した企業は比較的高い傾向にあります。
そのため、総還元性向の値が高ければ良く、低いから悪いというものではありません。
企業の経営方針や成長フェーズと併せた上で、総合的に判断するのが良いですね。
この総還元性向の計算式は以下の通りです。
総還元性向の計算式
(配当金支払額+自社株買い総額)÷当期純利益=総還元性向(%)
平成29年度に生命保険協会が行った総還元性向の推移の調査によると、平成28年度の総還元性向の平均値は次のような結果でした。
・日本株(TOPIX構成企業):44%
・米国株(S&P500構成企業):114%
株主還元の度合いが、日本と米国では大きく違うのが分かりますね。

カブエ
株式投資をするなら、企業の財務内容や成長性を見ながら、総還元性向も確認して投資先を選ぶと良いんだねっ♪

まとめ

さて、今回は『企業や株主に嬉しい効果の「株主還元」とは!?種類や計算式を紹介』と題して、株主還元について詳しく説明しました。

この記事をまとめると以下の通り。

株主還元には"配当(増配)"・"株主優待"・"株式分割"・"自社株買い"がある
増配は配当金を増やす事で、株主優待は自社製品を無料でプレゼントする事
株主分割を行う事で最高購入金額が下がり、株式を買いやすくなるので、株価が上昇する可能性が高くなる
自社株買いには、EPSの上昇やアナウンス効果がある
株主還元の度合いを示す指標に、総還元性向というものがある

 

株式投資をしていると「せっかく投資して応援してあげてるんだから、お礼に何かちょうだい」という気分になるモノ。

その気持ちを解消してくれるのが『株主還元』です。

しかも株主だけではなく、企業にとっても嬉しい効果があるのは良いですよね。

お互いにwinwinが築けるので、応援にも身が入りますよ♪

カブエ

株主還元を行ってる企業を、さらに応援したくなっちゃうねっ💕

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