格付けとは何?格付けの基礎や世界の格付会社&国債の格付けを紹介

カブエ
よくテレビ番組で「格付け」って聞くけれど、株式投資にも格付けがあるんだね。
何のために必要なんだろう?

カブラバ先生
「格付け」は、株式投資を行っていくために必要な信用力を表すものなんですよ。
某テレビ番組の影響で「格付け」という言葉を知らない人はいないとは思いますが…
もしかしたら株式投資をする時には、あまり格付けを意識した事がないかもしれません。
でもね。
格付けは、企業の信用力を表す重要な指標なんですよ。
この格付けを知らないと、「どういった企業に投資すればいいのか?」が決められず、折角のチャンスを逃してしまうかもしれません。
そこで今回は『格付けとは何?格付けの基礎や世界の格付会社&国債の格付けを紹介』と題して、格付けの意味や格付けの種類について紹介していきましょう。

格付けとは何か?

カブラバ先生
格付けとは、一般的に企業などの信用度や、競争のレベルなどに応じてグループ分けされたランキングの事ですね。
株式で使われる「格付け」は、国債や社債など債権の信用力や元利金が約束通りに支払われる確実性をAやBBBなどの記号で表す事を指します。
これは信用リスクを図る指標の1つとして使われていて、信用格付会社によって評価されています。
たとえば、R&I (格付投資情報センター)の発行体格付だと、以下の表で示されていますね。
R&Iの発行体格付け表
AAA 信用力は最も高く、多くの優れた要素がある。
AA 信用力は極めて高く、優れた要素がある。
A 信用力は高く、部分的に優れた要素がある。
BBB 信用力は十分であるが、将来環境が大きく変化する場合、注意すべき要素がある。
BB 信用力は当面問題ないが、将来環境が変化する場合、十分注意すべき要素がある。
B 信用力に問題があり、絶えず注意すべき要素がある。
CCC 信用力に重大な問題があり、金融債務が不履行になる懸念が強い。
CC 発行体のすべての金融債務が不履行に陥る懸念が強い。
C 発行体のすべての金融債務が不履行に陥っているとR&Iが判断する格付け。
BBB以上の格付けが「投資適格格付け」とされ、比較的信用度は良好。
反対にBB以下は「投機的格付け」とされ、信用度は低いと考えられています。
当然、AAAが最も信用度が高くて、Dに近くなればなるほど債務不履行し、元本を失う可能性が高くなるというワケですね。
格付けが低いとリスクが高まるので、投資家の関心を引くには利回りを高くする必要があります。
そのため、一般的に"格付けが低くなればなるほど利回りが高くなる"といった傾向にありますね。

なぜ格付けが必要なのか?

なぜ格付けが必要なのか?

格付けの意義を、債券発行企業や国といった格付け対象者と投資家の視点で考えてみましょう。

格付け対象者(債券発行企業・国)の視点

債券を発行する際、支払利子といった発行コストを決定する指標の1つが「格付け」です。

格付けの順位が高ければ低い利子で債券を発行できるので、コストの負担を減らす事ができます。

つまり、格付けは債券による資金調達のしやすさやコストに影響を与えるワケですね。

投資家の視点

格付けを参考にして、購入している&購入を考えている債券の安全性や利回りが妥当かどうかを判断する事が可能です。

投資家にとって、格付けは投資の判断材料になるという事ですね。

格付会社とは、どんなもの?

カブラバ先生
格付会社とは、企業などの信用状態に関する評価の結果を、記号や数字で表した等級で示してくれる格付機関です。
これは独自の基準をもとに格付けを行っている組織の事で、日本では金融庁に信用格付業者として登録されています。
世界で見ても格付会社はたくさんあるのですが、その中でも有名な日系企業外資企業を紹介しましょう。

日本の格付会社

日本で有名な格付会社としては次の2社が挙げられます。

・ R&I(格付投資情報センター)

・ JCR(日本格付研究所)

 R&I(格付投資情報センター)

1998年に発足された日本最大大手の格付会社が、このR&I(格付投資情報センター)。
公募債市場での起債額カバー率は日本一で、驚異の8割をほこります。
他にも年金運用のコンサルティング事業や年金・ファンドに関する情報提供事業なども行っており、近年ではESGやSDGsの分野でも評価と実績を積み重ねていますね。

JCR(日本格付研究所)

R&Iと並んで日本を代表する格付会社が、JCR(日本格付研究所)です。

流通関連業界や金融機関でのカバー率は高く、70%を超える高水準。

また、格付けを公表している日本国内の発行企業約1000社のうち、6割以上がJCRから格付けを取得しているほどです。

世界の格付会社

次に世界の格付会社ですが、有名なのが以下の3社です。

・ S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)

・ Moody's(ムーディーズ)

・ Fitch Ratings(フィッチ・レーティングス)

S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)

R&Iの世界版と言えるのが、この S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)。
アメリカ合衆国・ニューヨーク市に本部を置き、世界26か国にオフィスを展開している、世界最大手の格付機関ですね。
もともと"日本の格付の歴史も、S&Pから始まっている"と言っても過言ではない始祖的な存在です。

Moody's(ムーディーズ)

次に有名なのが、 Moody's(ムーディーズ)です。

アメリカの民間企業で、米大手債券の格付基幹業務を担っており、主に企業や債券の信用力の調査・信用格付を行っています。

S&Pと並んで、世界2大格付機関の1つとされていますね。

Fitch Ratings(フィッチ・レーティングス)

Fitch Ratings(フィッチ・レーティングス)は、イギリス・ロンドン、アメリカ合衆国・ニューヨークに本拠を置く格付機関。

信用状態に関する独自の格付情報を提供しています。

世界の格付けの約15%を占めていますね。

世界各国の格付の状態は?

「安全な資産」と言われている国債ですが、これも国によって違いが有ります。

世界各国の格付の状態を見てみましょう。

世界各国の格付表
国名 R&I(格付け/

見通し)

S&P(格付け/見通し)
オーストラリア AAA/安定的 AAA/安定的
オランダ AAA/安定的 AAA/安定的
シンガポール AAA/安定的 AAA/安定的
(省略)
アメリカ AAA/安定的 AA+/安定的
(省略)
日本 AA+/安定的 A+/安定的
(省略)
アルゼンチン CCC+/安定的

※R&IとS&Pをもとに作成ー

この中でアルゼンチン国債はCCC+で投機的格付に分類されます。

ただ新型コロナウィルスの完成拡大を受けて、ドル建て国債(約100億ドル相当)の利払い・償還を2020年12月31日以降に延期した事が発端となり、外貨建ての格付けの一部に債務府以降がある事を意味する「SD(選択的デフォルト)」に格下げされました。

他にもスリランカはCCC+、ベネズエラはCCC-と格付けされています。

国債だからと言って、絶対に安全というワケではないんですね。

日本国債の格付けはどう変化した?

日本国債は、新型コロナウィルスの影響で2020年6月に見通しが下がった事があります。

新型コロナウィルス対応への赤字国債の増加による財政赤字の拡大などの原因により、S&Pは日本国債を「ポジティブ」から「安定的」に変更し、Fitch Ratingsも「安定的」から「ネガティブ」に変更しました。

日本でさえも、格付けの見通しを下がられる事があるんですよね。

とは言え、日本の国債はR&IからAA+、S&PからA+の格付けw得ているので、比較的安全だとは言えるでしょう。

 

※債券や国債については、以下の記事で詳しく説明していますよ。

まとめ

さて、今回は『格付けとは何?格付けの基礎や世界の格付会社&国債の格付けを紹介』と題して、格付けの意味や格付けの種類について紹介しました。
企業の安全性や信用リスクを測る指標として、株式投資をする上で重要な役割を持つ「格付け」。
この格付けを行う機関も世界には何十社とありますが、特に有名な会社は世界・国内で5社あります。
ただ格付け自体、社会情勢や国の状態によって内容が変わっていきます。
ですが、この格付けを1つの投資判断の材料にして、折角のチャンスを逃さないようにしましょう。

カブラバ先生
格付機関の提供する格付けに目を通しておけば、世界各国や企業の状態をある程度は把握できるようになりますよ。
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