東京証券取引所と地方証券取引所は?日本の株式市場の種類も解説

カブエ
えっ!?
日本の株式市場って、4つもあるんだ!
「東証」だけじゃなかったんだね…💦

 

カブラバ先生
確かに、1番有名なのは「東証(東京証券取引所)」なんですけどね。
他にも「札幌」・「名古屋」・「福岡」にも証券取引所があるんですよ。
「東証一部」「東証二部」といった言葉を、ニュースなどで見た事のある人も多いとは思います。
それもそのはず、「東証」こと東京証券取引所は国内最大の証券取引所であり、1番有名なものなんですよね。
でも、実は国内の証券取引所は「東証」をあわせて4つもあるんですよ。
株式市場だって色々あるんですよ。
「えっ、ヤダ…そんなに…?」って思うでしょ?
そこで今回は『東京証券取引所と地方証券取引所は?日本の株式市場の種類も解説』と題して、国内の証券取引所や株式市場への上場審査基準・上場している企業の特徴について紹介していきましょう。

東京証券取引所とは?

カブラバ先生
東京証券取引とは、日本取引所グループの子会社で、日本最大の証券取引所の事です。
日本の株式市場は「東京証券取引」「名古屋証券取引所」「札幌証券取引所」「福岡証券取引所」の4つの取引所で成り立っているのですが…。
その中でも日本最大の証券取引所でもある東京証券取引所は「東証」とも呼ばれており、「東証一部」や「東証マザーズ」などといった株式取引ができる場所となっています。
この東京証券取引所の中で、一般的に株式取引ができるのは以下の市場です。

東証一部

東証二部

マザーズ

ジャスダック

これを見ると、よく似たようなものがありますよね?
これらの違いや特徴は一体どんなものなのでしょうか?

東証一部と東証二部との違いは?

東京証券取引所の本則市場である「東証一部・二部」には、主に大企業が上場しています。

この本則市場とは、証券取引所にある市場のうち、メインとなる市場の事ですね。(※日本の証券取引所には「本則市場」と「本則市場ではない市場」の2つが存在する)

カブラバ先生
たとえば、東証一部には「トヨタ」や「任天堂」などが上場していて、東証二部には「東芝」や「日本ケンタッキー・フライド・チキン」などが上場していますよ。

カブラバ先生
うわーーっ!
どちらの市場にも、聞いた事がある有名企業が多いんだねっ

 

でも東証一部&二部を見てると「やだっ…これって、どこが違うの…?」って思いますよね。

実は東証一部と東証二部の大きな違いは「企業が市場に上場するための審査基準」にあります。

この「東証一部」に上場する際の審査基準は厳しいのですが、「東証二部」の審査基準は一部ほどは厳しくはありません。

東証一部・二部の上場審査基準は、どう厳しいのか?

そもそも東京証券取引所の「東証一部」「東証二部」に上場するためには、既定の審査基準をクリアする必要があるんですよね。

この審査基準の中でも東証一部・二部で違いがあるのが、以下の項目になります。

「東証一部・二部」の上場審査基準の比較
東証一部 東証二部
株主数 2,200人以上 800人以上
流通株主数 20,000単位以上 4,000単位以上
流通株式数(比率) 上場株券などの35%以上 上場株券などの30%以上
流通株式時価総額 なし 10億円以上
時価総額 250億円以上 20億円以上

 

ちなみに「流通株式数」とは、発行株式から流通性の乏しい株式を除いた株式数の事。

一般的に流通性が乏しいとされている株式は以下の通りです。

流通性が乏しいとされる株式

上場企業が所有する株式

上場企業の役員が所有する株式

上場株式数の10%以上を所有する人や、組合の株式

さらに言えば、上場審査では「会社役員の家族が所有する株式」や「関連会社やその役員が所有する株式」も流通株式として認められていません。
つまり、東証一部に上場するためには200株以上、東証二部に上場するためには40万株以上を投資家に購入してもらう必要があるという事なんです。
これはどう見ても東証一部の方が審査が厳しく、各基準値の低い東証二部の方が比較的上場しやすそうですね。

東証一部・二部に上場している企業は?

有名な企業が多い東証一部・二部ですが、一体どのような企業があるのか気になりますよね。

現在、東証一部には約2,082社、東証二部には約512社の会社が上場しています。

「東証一部・二部」の上場企業(例)
「東証一部」の上場企業 「東証二部」の上場企業
・ LINE

・ LIXILグループ

・ NTTドコモ

・ WOWOW

・ ぐるなび

・ しまむら

・ ゆうちょ銀行

・ イオン   など

・ はごろもフーズ

・ ニッセイ

・ ハリマ共和物産

・ バイク王&カンパニー

・ ブルボン

・ エスビー食品

・ 富士通コンポーネント    など

 

投資家からの人気もないと東証一部・二部には上場できないので、おのずと聞いたことのある有名企業が多く集まってくるんですね。

また、"東証二部から東証一部へ鞍替えする"といった企業も多くあり、それとは逆に"東証一部から二部へ降格"してしまう企業もあります。

これら上場企業の昇格・降格には様々な要因が関係しているワケですが、もし鞍替えをした企業に投資する時には、その理由や目的をしっかりと確認・分析してから取引するようにしましょう。

 

※企業価値の見極め方や分析方法については、コチラの記事が参考になりますよ。

ベンチャー企業向けの株式市場「マザーズ」とは?

カブラバ先生
「マザーズ」とは、東京証券取引所が開設する新興企業向けの株式市場の事です。
マザーズは、東京証券取引所の中にある株式市場の1つで「東証マザーズ」とも呼ばれています。
これには主に新興企業が上場していて、いずれは東証一部への昇格を狙っている成長企業向けの株式市場ですね。
俗に言う「ベンチャー企業」向けの株式市場なので、東証一部・二部ほど上場審査基準は厳しくありません。

マザーズの上場審査基準は?

では、マザーズの上場審査基準についても詳しく見てみましょう。
このマザーズへ上場するためには、東証一部・二部と同じく多くの審査基準をクリアする必要があるのですが…。
マザーズの場合、より成長性の高い企業が上場できるように、東証二部よりも審査基準を少し軽くしてあります。
「東証マザーズ」と「東証二部」の上場審査基準の比較
東証マザーズ 東証二部
株主数 200人以上 800人以上
流通株式数 2,000単位以上 4,000単位以上
流通株式数(比率) 上場株券などの25%以上 上場株券などの30%以上
流通株式時価総額 5億円以上 10億円以上
時価総額 10億円以上 20億円以上
純資産額 なし 10億円以上
事業継続年数 1年以上 3年以上

 

これを見ても分かるように、マザーズは東証二部のおよそ半分以下の審査基準値で上場が可能なので、たとえ東証一部・二部の上場が難しい企業でも"マザーズへ上場すれば投資家から資金調達ができるようになる"という事なんですね。

マザーズに上場している企業は?

このマザーズに上場している企業のほとんどは、まだ無名で将来成長する可能性の高い「ベンチャー企業」である事が多いです。

「東証マザーズ」の上場企業(例)
・ クラウドワークス
・ HEROZ
・ ミクシィ
・ ライフネット生命
・ サマンサタバサジャパンリミテッド など
あまり聞いた事のない企業が多いのですが、マザーズにはこれから大企業になる可能性のある企業がほとんどなんですね。
たとえば2018年4月にマザーズへ上場した「HEROZ]だと、上場後に株価が急激に跳ね上がり、その騰落率はIPO(新規公開株取引)開始以来、最も高い「988.89%」を記録したという事があります。
このように「株価が急に暴騰する企業が多い」というのも、マザーズ市場の特徴だと言えます。
そのため株取引で売却益を得たいのなら、マザーズへ上場する企業のチェックは欠かせませんよ。

大企業が集まるベンチャー企業向けの株式市場「ジャスダック」とは?

カブラバ先生
ジャスダックとは、東京証券取引所が運営する国内最大の新興市場です。
ジャスダック(JASDAQ)は、東京証券取引所にある株式市場の1つで、国内最大のベンチャー企業向け株式市場です。
ベンチャー企業向けといえば「東証マザーズ」もそうなのですが、大きく違うのは、ジャスダックは "スタンダード" と "グロース" という市場に分かれるという点。
このジャスダックの上場には、以下の企業が対象になります。
「ジャスダック(JASDAQ)」の上場の対象企業
JAZDAQスタンダード 一定の事業規模と実績を有する成長企業
JASDAQグロース 将来の成長可能性に富んだ企業群

「スタンダード」「グロース」で上場審査基準や上場の特徴も変わってきます。

ジャスダック「スタンダード」と「グロース」の上場審査基準は?

このジャスダックへの上場も、マザーズと同じく審査基準をクリアしていく必要があるんですよね。

そこでジャスダックのスタンダードとグロース、それぞれの上場審査基準を見てみましょう。

「スタンダード」「グロース」の上場審査基準
JAZDAQスタンダード JASDAQグロース
株主数 200人以上 200人以上
流通株式時価総額 5億円以上 5億円以上
純資産額 2億円以上 赤字でない
企業の存続性・成長性 事業活動存続に支障をきたす状況でない 成長可能性を有する
企業統治・内部管理体制 ・企業規模に応じて確立
・有効に機能している
・成長の段階に応じて確立

ちなみにジャスダックの「スタンダード」と「グロース」では、スタンダードの方が審査が厳しくなっています。

「グロース」だと、スタンダードの審査基準ほど利益が出ていなくても、企業の成長可能性があれば上場する事ができるんですね。

ジャスダックに上場している企業は?

ジャスダックはマザーズと違って歴史があり、指定替えをしないで昔から上場している古株の企業が多いです。

「スタンダード」「グロース」の上場企業(例)
JASDAQスタンダード JASDAQグロース
・ミサワホーム中国

・湖池屋

・日本マクドナルドホールディングス

・オリコン

・シダックス  など

・地域新聞社

・ジェイテック

・シンバイオ製薬  など

 

ジャスダックは50年以上もの歴史を持っていて、合併や統合を繰り返し、現在「東京証券取引所」にある市場の1つとなっているワケなんですね。

そのため、ジャスダックには何十年も前から上場している老舗企業も多く存在しています。

このようにジャスダックの上場企業へ「昔ながらの大企業」が多いのは、新規上場企業の多いマザーズとの大きな違いだと言えますね

まだある!「名古屋・札幌・福岡」の証券取引所の株式市場と上場審査基準

日本の証券取引所取引所は「東京証券取引所」だけではなく、他にも3つの証券取引所が存在します。

日本の証券取引所(東証以外)

札幌証券取引所

名古屋証券取引所

福岡証券取引所

カブラバ先生
昔はこの中に「大阪証券取引所」があったのですが、東京証券取引所と統合したので、現在は「大阪取引所」になっていますよ。
それでは、これら証券取引所にどんな株式市場があるのかを順番に見ていきましょう。

札幌証券取引所の株式市場と上場審査基準

札幌証券取引所は、主に札幌周辺で実績のある企業が上場しています。

札幌証券取引所の株式市場
・ 本則市場
・ アンビシャス
このアンビシャスの上場対象企業は「北海道に関連のある企業」ですね。
札幌証券取引所の上場企業(例)
・ 北海道中央バス
・ 日糧製パン
・ RIZAPグループ

名古屋証券取引所の株式市場と上場審査基準

名古屋証券取引所は「名証」とも呼ばれ、主に名古屋周辺に本社がある企業や実績のある企業が上場しています。

名古屋証券取引所の株式市場
・ 名証一部
・ 名称二部
・ セントレックス
この名証一部・二部は、「一定の実績を有した企業」が対象の市場です。
そしてセントレックスとは、主に「成長が期待される企業」が対象になっていますね。
名古屋証券取引所の上場企業(例)
・ マルサンアイ
・ 日本PCサービス
・ 東洋電機

福岡証券取引所の株式市場と上場審査基準

福岡証券取引所では、主に福岡や九州に本社を置いている企業が上場しています。

福岡証券取引所の株式市場
・ 本則市場
・ Q-Booard
このQ-Boardの上場対象企業は「九州周辺に本店を有する企業」や「九州周辺における事業実績・計画を有する企業」とされています。
「福岡証券取引所」の上場企業(例)
・ マルタイ
・ 第一交通産業
・ 福岡中央銀行
…と、ここまで4つの株式市場や証券取引所について紹介してきました。
日本で1番大きくて有名なのは「東京証券取引所」ですが、株式市場には東証だけではなく地方にもあります。
気になる銘柄を確認してみて下さいね。

まとめ

さて、今回は『東京証券取引所と地方証券取引所は?日本の株式市場の種類も解説』と題して、国内の証券取引所や株式市場への上場審査基準・上場している企業の特徴について紹介しました。

この記事をまとめると以下の通り。

日本の証券取引所は「東京証券取引所」「札幌証券取引所」「名古屋証券取引所」「福岡証券取引所」の4つ

東京証券取引所のなかで一般的に株式投資ができるのは「東証一部」「東証二部」「マザーズ」「ジャスダック」の4つ

「東証一部・二部」に上場している企業はほとんどが有名大企業

マザーズは新興企業、ジャスダックは歴史ある大企業の多いベンチャー企業向け市場

1番知名度のある「東京証券取引所」のなかにも株取引ができる市場が4つもあります。
また、東証以外にも証券取引所は存在しています。
それぞれの証券取引所によって、上場の審査基準や上場企業の特徴はさまざま。
それぞれの特徴を知った上で、気になる銘柄がどの証券取引所に上場しているのか、確認してみてはいかがでしょうか。

カブエ
日本の証券取引所や株式市場をよく知っておけば、株式についての視野がさらに広がるねっ♪
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