TOBとは何?株式公開買付けを行う目的やそのメリット&デメリット

カブエ
ニュースでTOBって言ってたけど、一体どういう意味の言葉なの?
やっぱり、株に関係してるのかなぁ…

カブラバ先生
TOBなんてよく知ってるわね。
これは、自分の株式会社を経営していくために、大きく関わってくるものなんですよ。
「A社がB社に対してTOBする事を正式に発表しました」
最近、こんなTOB関連のニュースが増えているのを知っていますか?
えっ?
そもそもTOBが何なのか知らない!?
まぁこのように、TOBがどのようなものなのか、よく分かっていない人は多いと思います。
でもこのTOBは、株式会社やその株式を持っている人にとって、とても関わってくるものなんですよね。
そこで今回は『TOBとは何?株式公開買付けを行う目的やそのメリット&デメリット』と題して、TOBの基本情報やメリット・デメリットを紹介していきましょう。
これはよく知っておかないと、必ず損をしてしまいますよ。

TOBとは何か?

"TOB(Takeover Bid)とは何か?"ですが、「株式公開買付(かぶしきこうかいかいつけ)」と呼ばれるM&A手法です。

これは企業の買収手段の1つで、あらかじめ買取対象の企業の「買付期間」や「取得価格」、「取得株数」などの条件を公開して、株式を保有する株主に「ねぇ…売って下さらない♡」と勧誘し、それらの株式を証券取引所の市場外で買い付ける方法ですね。

TOBの対象は主に上場企業なんですが、有価証券報告書を提出しなければならない会社に対しては上場していなくても行われる事があります。

TOBを行う目的

TOBを行う目的は経営権を獲得する事で、分かりやすく言うなら企業の買収や子会社化を目指して実施される事が多いです。

「企業の買収」と聞くと、ドラマでもあるように悪役の人がやってそうなイメージですよね。

でも経営権を獲得できれば、株式会社の最高意思決定機関である株主総会で、重要な決定に大きく関わる事ができるようになります。

ただし、株式を所有する割合に応じて決議への影響力に差が出てきます。

この持ち株所有割合に応じた株主の権利は以下の通り。

持ち株所有割合に応じた株主の権利
株所有割合 株主の権利
3分の1以上 経営の重要な決定事項への拒否権を持つ
2分の1以上 取締役の選任などの基本事項の決定権を持つ
3分の2以上 経営の重要な決定事項への決定権を持つ
100% 会社の全てに対して決定権を持つ

 

これを見て分かるように、3分1以上の株式を取得できれば経営の方針に影響を与えられるようになり、対象の企業を関連会社にできます。

さらに株式を2分の1以上取得すれば子会社化できますし、100%取得すれば完全子会社化させる事も可能になります。

もうここまでくると、会社の乗っ取りですね。

ですが、上場企業の株式は市場で自由に売買されているので、常にTOBされるリスクに晒されているというワケなんですね。

証券取引所外で買付けをする理由は?

TOBは証券取引所外で買付けをされるのですが、どうして取引所外でなのか疑問に思いますよね。

この理由は、市場で株式を買い進めると自分の想定通りに手に入らない可能性があるからなんですね。

市場で株式を買い進めていくと、他の投資家が株式の買い進めに気付いて、お互いに取り合いになってしまう事があります。

そうなると株価も吊り上がり、予定以上の価格で買う事になってしまったり、希望通りの数量が手に入らなくなったりします。

そんな事にならないためにも取引所外で、また一定の価格で買付けをするんですね。

TOBの買付け価格は?

TOBの買い付け価格は、一般的に市場価格(株価)よりも30%~50%ほど高めに設定する事が多いです。

それは株主がTOBに応じる動機付けのため。

もしあなたの持ち株へ「市場よりも高い値段で買うから、売ってちょーだい♪」と依頼がきたらどうしますか?

多分、よほどの思い入れがない限り「まぁっ!そんなに高値で買って下さるんでしたら、売っちゃおうかしらぁ~」とTOBに応じるのではないでしょうか。

このようにTOBに応じる株主を増やして成功させるためにも、買付け価格を魅力的に見せておく必要があるワケなんですね。

TOBの2つの種類

TOBには次の2つの種類があります。
TOBの2つの種類

友好的TOB

敵対的TOB

 

友好的TOB

友好的TOBとは、ちゃんと買収される企業の経営陣から同意を得た上で行うTOBの事です。

 

カブラバ先生
経営ノウハウも資金も提供するので、我が社の子会社になってもらえますか?

 

カブエ
そういう条件なら、子会社になってもいいよ♪
よろしくお願いします♡
…こんなイメージですね。
例にあげるなら、グループ企業の完全子会社化が友好的TOBに当てはまります。
日本で実施されているTOBのほとんどが友好的TOBなんですよね。
そもそもTOBとは、対象会社と相互に作用し合い、企業価値を高める事が目的です。
TOBが成功したとしても、対象会社の経営陣や従業員の反発が強い状態では、価値を下げる事になりかねません。
なので、友好的TOBとする事が成功への近道となるワケです。

敵対的TOB

敵対的TOBとは、買収される企業の同意を得ずに行うTOBです。

 

カブエ
よーーしっ、カブエさんの株式を全て買い占めてやったわぁ!
ワーハッハッハッハァーー!

カブエ
あれぇ?あれぇ?
いつの間にか、カブラバ先生の子会社になってるぅ!?

 

…極端な話、こんなイメージですね。
友好的TOBとの大きな違いは、買収対象となる企業の同意が得られているかどうか?という点にあります。
この敵対的TOBでは、対象会社の支配権を獲得できる段階まで株式を取得する事が目的です。
ただ、敵対的TOBを仕掛けられた対象企業はたまったもんではありません。
対象企業が諦めて子会社化に賛同してくれれば良いですが、納得いかない場合「増配」や「ホワイトナイト」、「焦土作戦」といった買収防衛策を取る事も。
でもこんな強行作戦だと、TOBが成功してもその後の経営に大きく影響を及ぼしてしまいますよ。

 

TOBを行う企業のメリット&デメリット

ここまでしてTOBを行う事で、企業にはどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?

そこでここではTOBを行う企業について見てみましょう。

TOBを行う企業のメリット

TOBを行う企業のメリットとして挙げられるのが、以下の2点になります。

大量の株式を一度に買い集められる

一定の価格で株式を手に入れられる

TOBは一度に大量の株式を買い集められるため、経営権の取得を狙う場合でも一定数の株式を獲得しやすいです。
しかも証券取引所外で買付けされるので、ライバルも無く希望する数量の株式が手に入りやすいですね。
また、一定の価格での株式の買付けのため、買収価格を事前に把握できるといったメリットもあります。
双方の話がスムーズに進み、買収にかかる時間が減らせると、会社にかかる負担も軽くなりますよ。

TOBを行う企業のデメリット

次にTOBを行う企業のデメリット2点を見てみましょう。

市場価格よりも高い値段で買い取る必要がある

TOBを行っても、買収できない可能性もある

TOBを成功させるためには、一定数の株式を確実に集めなければいけません。
そのため対象の株主から魅力的に見えるように、市場価格よりも高い値段で買う必要があります。
とは言え、買収される企業が防衛策を打ち出したり、競合他社からの介入があったりと、思うようにスムーズに買収できない可能性もあります。
中には「買収できなくて失敗してしまった」といったケースも。
TOBを行っても、必ず上手くいくとは限らないというワケですね…。

TOBをされる企業のメリット&デメリット

実は、TOBをされる側の企業にもメリットとデメリットが存在します。
ここでは、TOBをされる企業について見ていきましょう。

TOBをされる企業のメリット

経営改善や事業拡大が見込める
TOBをされる企業のメリットしては、「経営改善や事業拡大が見込める」が挙げられます。
たとえば、自社よりも大きい企業に買収される場合、買収をする企業の経営基盤やノウハウ、経営を潤滑にさせるための資金が投入される事になりますよね。
つまり、TOBされる事で買収される企業の経営状況が改善される可能性があるワケなんですね。
まぁ企業の状態によっては、願ってもないチャンスになるかもしれません。
しかも買収する企業の資金を上手く活用できれば、これまで資金不足で諦めていた事業の拡大にも取り組める可能性だって出てきます。
TOBされる側の企業としては、新しい風を呼び込むキッカケになるという事ですね。

TOBをされる企業のデメリット

会社の経営権を奪われる
TOBをされる企業のデメリットは、何と言っても「会社の経営権を奪われるです。
そもそもTOBされるという事は関連会社や子会社になる事を意味するので、元の経営陣が以前のように会社の経営や事業に口を出せなくなってしまう可能性があります。
たとえ元社長が「いやっ、止めないでぇ!この事業にいくらかけたと思ってるのよっ!」と言っても、現社長の経営方針に沿わなければ、計画していた事業も実現されなくなってしまいます。
また、これまで会社の伝統として行っていた事業でさえ縮小される可能性だってあるんですね。
TOBをされる企業としては、"買収企業がどのような対応をしてくるのか?"をあらかじめ予測できないので、不安な要素が大きいというデメリットがあると言えます。
と、ここまでTOBについて説明しましたが…
やはり、TOBの性質やメリット&デメリットをよく理解して、双方の納得の元でTOBを行うというのが理想的ですね。

まとめ

さて、今回は『TOBとは何?株式公開買付けを行う目的やそのメリット&デメリット』と題して、TOBの基本情報やメリット・デメリットを紹介しました。
TOBとは、事前に期間や株数、価格を提示して、証券取引所外で対象の株式を買付けする方法になります。
これには企業の買収や子会社化させる目的がありますが、TOBする側やされる側にもメリットが存在します。
もしあなたがTOBを行ったり、されたりした場合も冷静に対応できるように、しっかりと頭に入れておきましょう。

カブラバ先生
「TOBがどんなものなのか?」を知っておけば、いざという時に対応できるので、損をしなくて済みますよ!
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