【もっと深掘り!】TOBの流れ・概要・規制やTOBされた時の対処法

カブエ
TOBの基本的な情報は分かってるんだけど、もう少し詳しく知りたいなぁ。
「TOBされたら、どうすればいいのか?」とかね♪

カブラバ先生
TOBについて興味を持ってくれたんですね。
それではもっと詳しく深掘りしてみましょう。
TOBとは、"株式公開買付制度"の事で「買付期間」「買付株数」「買付価格」をあらかじめ公開した後、対象企業や株主に売却を促し、証券取引所外で株式を買付ける方法です。
まぁTOBの意味は分かるのですが、これだけだと「もっとぉ…もっと深くまでTOBの事が知りたいのぉ…」と感じたりしませんか?
そこで今回は『【もっと深掘り!】TOBの流れ・概要・規制やTOBされた時の対処法』と題して、TOBに関する詳しい内容やTOBされた時の対処法を紹介していきましょう。
※TOBについての基本的な情報を知りたい方は、こちらの記事もどうぞ。

TOB(公開買付制度)の概要

企業にとって、他社を関連会社または子会社化して経営権を獲得する事は、事業の拡大や再編などに有効な手段です。

ただ、目的のためには手段を選ばず、強行手段を取ってしまう人がいるのも事実。

そのため株式の買付けには、特定の株主を優遇する等の公正と言えない取引が行われてしまう危険性があります。

そんな危険に対応するために制定されたのがTOB(公開買付制度)

TOBは「買付けする人がたくさんの株式を買付けしやすくする」というメリットがある一方で、買付企業の適性な情報開示等を義務づけて公正性や透明性を確保し、多くの投資家の利益を保護するための制度です。

投資家への情報開示

「さぁ、いらっしゃい…TOBをやっちゃうわよ♡」というようにTOBの実施が公表されると、対象になる株式の株価はTOBの買付け価格に合わせて上昇してしまいます。

こんな時、株主はいくつかの対応策を持っているのですが、どの対応策を実行するかで利益が大きく変わってしまう可能性があります。

また、買付企業の株価も「TOBが成功するかor成功しないか?」「TOB成功後の事業展開はどうなるか?」といった要因から、大きく変化する事も。

そういった不安要素を回避するため、金融商品取引法は、株主や投資家が的確に投資判断をできるように買付企業と対象会社に対して分かりやすく情報を提示・開示する事を義務付けています。

これは同時に「我が社はこういった会社なんですよ」といったアピールにも繋がるワケなんですよね。

公開買付期間

TOBでは公開買付期間として、買付けの期間を設定しなければいけません。

TOBを開始する際に、投資家への情報開示として公開買付け開始の公告を行うようになります。

この期間ですが、一般的にはその公告日から20営業日以上、60営業日以内で、買付企業が買い付け期間を決定します。

そして公開買付届出書の提出をもって、売主や株主による売付け申し込みの勧誘などが可能になり、公開買付期間が開始していくという流れですね。

公平な売却機会の確保

対象株式を保有している株主には、公平な売却機会の確保をする必要があります。

そのため、買付企業に対して以下の内容が課されています。

TOB期間中は原則TOB以外の方法で、対象の株式を買付ける事ができない

買付価格の引下げや買付予定数を減らす等、買付条件の変更をする事ができない

応募株式数が買付予定数を上回る場合で、応募様式の全部を買付けない時は按分比例による

TOBの手続きの流れ

TOBの手続きは、公開買付開始の公告による情報開示と、株式の売却の募集によって開始されます。

そして対象会社の意見表明などを経て、買付期間が終了すると買付数量などが確定します。

その後、株式の買付代金の決済が行われてTOBが終了、という流れですね。

このTOBの手続きの流れを上手く進めるために必要な知識を、ここで頭に入れておきましょう。

公開買付開始の公告と公開買付届出書の提出

意見表明報告書の提出

TOBの結果報告

公開買付撤回届出書の開示

 

公開買付開始の公告と公開買付届出書の提出

TOBを行うには、まずTOBの目的や買付価格、買付予定株式数や買付期間などを公告しなければいけません。

そして、公開買付開始の公告と同じ日にこれらの項目を含む所定事項を記載した公開買付届出書を提出する必要があります。

ちなみにここでの公告とは、日刊新聞紙への掲載か、金融庁が管理するEDINETへの掲載(電子公告)のどちらかになりますよ。

意見表明報告書の提出

対象会社は、公開買付開始の公告日から10営業日以内にTOBに対して「賛成」「反対」「中立」かを分かりやすく表明した意見とその根拠や理由、その他所定事項を記載した意見表明報告書を内閣総理大臣に提出しなければいけません。

この意見表明報告書には、買付企業に対する質問も記載する事ができます。

ちなみに内閣総理大臣への提出ですが、これは金融庁のEDINETを通じて電子提出する事ですね。

TOBの結果公表

買付企業は、買付期間の最終日の翌日営業日に「応募があった株式数」「その他所定事項」を公表しなければいけません。

そしてTOBの結果公表と同じ日に、公表の内容等を記載した公開買付報告書を提出する必要があります。

ちなみに公表とは、日韓新聞紙を発行する新聞社やNHKなどの放送従事者に公開する事を指しますよ。

公開買付撤回届出書の開示

通常、買付企業は公開買付開始公告をした後で撤回する事が出来ないようになっています。

ただし、公開買付開始公告・公開買付届出書において、会社自体が倒産などやむを得ない理由で公開買付ができなくなった場合は、その旨を伝え、公開買付撤回届出書の開示をして撤回する事ができます。

TOBに対しての規制

TOBによって経営者などが変わると、会社や株主の利益にも大きな影響が出てしまうため重要な事項になっているんですよね。

そのため、分かりやすく適切に情報開示できるように、TOBに対して以下のような規制が定められています。

5%ルール

3分の1ルール

5%ルール

カブラバ先生
この5%ルールとは、“証券取引所の市場外で買付けを行う際、買付後に所有する株式の割合が5%を超える場合は、TOBを行わなければいけない”というルールです。

 

ただし、5%を超えていたとしても60日間で10人以下から買付ける場合は、TOBを行わなくても問題はありません。

3分の1ルール

カブラバ先生
3分の1ルールとは、“買付による株式の所有する割合が3分の1を超える場合は、TOBを行わなければいけない”というルールです。

 

これは以下の3つのパターンに分かれますね。

証券取引所の市場外で、60日間で10人以内から株式を買付けて、それが3分の1を超える場合

証券取引所の市場外にて、ToSTNeT取引やJ-NET取引などで株式を買付けた際、それが3分の1を超える場合

3か月間で10%の株式を買付けた際、それが3分の1を超える場合
(※10%のうち、5%を証券取引所の市場外または特定売買で買付けた場合に限る)

 

あなたの株式がTOBされた時の対処法

もし、あなたの持っている株式がTOBされたら、一体どうなるのでしょうか?

あなたの株式がTOBの対象になった時に、知っておきたい対処法は以下の3つです。

TOBに応じる

市場で売る

保有を続ける

TOBに応じる

TOBに素直に応じれば、買付企業が提示してきた買付価格で売ることができます。

買付企業が提示している価格は、通常よりも30%~50%ほど高いので、お得に株式を売却したい人にはオススメです。

ただ、指定された口座に口座を作って株を移管させなければいけなかったり、買付株数に上限が設けられたりしている、といった事はあります。

正直、そこはちょっとした手間ですね。

市場で売る

別にTOBに申し込まなくても、市場で株式を売る事ができます。

通常、TOBが公表されると対象企業の株価は値上がりする場合が多いので、そのタイミングに合わせて市場で売れば、高値での売却が可能ですね。

TOBが失敗に終わる可能性を考えると、市場で売却して利益を得るというのも賢い考え方。

また、TOBが全株式買付ではなく一部のみの買付という場合には、TOBに申し込んで売るよりも市場で売ってしまった方が、手間を省く事ができますよ。

保有を続ける

株式を売却する事なく、保有を続けるのも選択肢の1つです。

でもTOB後に上場廃止になる銘柄の場合は、TOBに応じなくても強制的にTOB価格で売却されます。

それを考えると、保有を続けるよりもTOBに応募したり、市場で売却したりする方が良いですね。

また、一部のみの買付で上場が維持される場合でも、TOB の成立後には株価が元の水準に下がる事が多いので、なるべくTOB公表後にに市場で売ってしまいましょう。

まとめ

さて、今回は『【もっと深掘り!】TOBの流れ・概要・規制やTOBされた時の対処法』と題して、TOBに関する詳しい内容やTOBされた時の対処法を紹介しました。

内容をまとめると以下の通りですね。

・TOBを公正に行うため「投資家への情報開示」「公開買付期間」「公平な売却機会の確保」をする義務がある

・ TOBの流れを円滑にするには、4つの手続きが必要になる

・ TOBの規制には、5%ルール3分の1ルールがある

・ 株式がTOBされた時の対象法としてTOBに応じる市場で売る保有を続けるの3つの選択肢がある

ただ実際にやってみると実感するのですが、思うようにいかない事もよくあるんですよね。

買付期間中に対象会社が買収防衛策を行ってきたり、競合相手が対抗してTOBを開始したりしてくると、買付条件の変更やTOBの撤回などを考えないといけなくなってしまいます。

もしもの時にも冷静に対応できるように、TOBについての内容をしっかり覚えておきましょう。

カブエ
しっかり覚えておけば安心だねっ!
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