公的年金は破綻する!?財政の現状と安心な老後を送るための原則

カブエ
年金の額がどんどん減っていってるって聞いたんだけど…
もしかして私の頃は年金が破綻して、もらえなくなるのかなぁ?

かぶらば先生
「年金が破綻して、いつか年金がもらえなくなる」という話は聞いたことがありますね。
心配になるのも無理はありませんが、その前に公的年金の現状を知っておいてはいかかですか?

厚生省の「財政検証」は、"2040年の年金受給額は15%前後目減りし、2060年には30%ほど目減りする"と予想しています。

丁度これらの年に該当する現役世代の老後は、これから一体どうなるのか不安ですよね。

よく「公的年金が破綻して、年金がもらえなくなる」という話も耳に入ります。

特に、今の40代は本気で年金の目減りを覚悟しておかないといけなくなるかもしれません。

まずは日本財政の現状を知っておきましょう。

そこで今回は『公的年金は破綻する!?財政の現状と安心な老後を送るための原則』と題して、公的年金は破綻するのか?、財政は今後どうなるのか?、安心な老後を送るためにはどうしたらいいのか?について説明していきましょう。

ちゃんと現状を知っておかないと、年金をもらえる歳になった時に後悔してしまいますよ。

公的年金が破綻しない理由

多くの人の"老後生活の頼みの綱"は「公的年金」だと思います。

そこで気になるのが「公的年金が破綻しないか」という事。

なぜなら、公的年金が破綻してしまうと、将来の老後生活の計画が全て崩れ落ちてしまうからですね。

でもどうして「破綻」という話が出てくるのかというと、年金財政が悪化しているといった不安からなんです。

日本では、公的年金に10年以上加入している人は、必ず年金をもらえると政府が国民に約束をしています。

そんな加入者全員に支払いの約束をしているお金は、現在で約1,000兆円を超えているんですね。

年金ではそのための積立をしていますが、その将来のための積み立てているお金は、実は約200兆円しかないんです。

約束している約1,000兆円から現状のお金約200兆円を引くと、足りないお金は約800兆円…

こんなに支払うお金が不足しているのなら、皆「このままだと公的年金は、破綻する…」と思ってしまうのは当然でしょう。

ただ、結論から言ってしまえば、日本の国が「財政破綻」しない限り、公的年金も破綻しません。

その理由としては、以下の事が挙げられます。

公的年金が破綻しない理由
年金の受給権があってもツケとして先送りできる
年金破綻を避けるための裏ワザがある
「マイクロ経済スライド」で実質的に年金をカットできる

年金の受給権があってもツケとして先送りできる

今の日本の年金は、「年金を払います」という約束をしている額は、すでに積み立てをしている額に比べて極端に少ないのが現状です。

これは過去の大盤振る舞いや、ずさんな管理、将来予想のミスなどで、超高齢化社会に対応できるだけの十分な積み立てをしてこなかったからなんですね。

ただ、なぜこんな状況でも公的年金が破綻しないのか気になりませんか?

それは、10年加入して年金をもらう権利が発生したからといっても、公的年金を今すぐに皆に支払わなくてはいけないものではないからです。

基本、公的年金がもらえるのは65歳から。

10年加入して年金の受給権があったとしても、65歳までもらうのを待たなくてはいけないので、国はその分をツケとして先送りできるというワケなんですね。

年金破綻を避けるための裏ワザがある

年金が破綻しない最も大きな要因は、政府が年金の破綻に耐えられないという事にあります。

仮に、公的年金が破綻したら、すでに政府が「年金をお支払いします」と約束している人達から「約束を守れ」という起訴を起こされ、政府はお金を支払わなくてはいけなくなります。

それこそ全員にお金を支払うとなったら、約800兆円をまとめて支払わなくてはいけなくなり、それだけで財政破綻してしまいます。

それ避けるために、国はいくつもの裏ワザを実行しているんですよね。

たとえば、日本の基礎年金部分の半分は、政府が税金からお金を出しているという点。

基礎年金は満額で月に約6万円ほどなんですが、その半分の約3万円は、国民の皆が支払った年金保険料ではなく税金なんです。

そのため、もし破綻しそうになったら、この税金の額を3万円ではなく全額の6万円にしてしまえば、破綻する事はありません。

その他にも「保険料を上げる」「支払う年金をカットする」「支給開始年齢を上げる」など、いろんな方法があるので、年金破綻する事はないんです。

「もう…心配したんだからっ!…よかった♡」と安心されましたかね?

ただ問題は、年金財政の健全化のために、すでに「保険料を上げる」「支払う年金をカットする」「支給開始年齢を上げる」という方法がとられているという点ですね。

国民の皆が支払っている年金保険料は、2004年の年金改革で引き上げが決まり、今でも毎年少しづつ上がっています。

しかも支給開始年齢も、55歳➡60歳➡65歳と引き上げられていて、もうすでに70歳支給開始も検討されようとしているんですよ。

「マクロ経済スライド」で実質的に年金をカットできる

日本の年金は、「物価や賃金が上がれば、それに応じて年金額も上がる」といった物価スライド・賃金スライドを採用していました。

ところが、年金行政の見込み違いや無駄遣いなどで年金行政がひっ迫してしまい、物価や賃金が上がった分だけ年金を増やしていくと、将来、年金の財源が足りなくなってしまうという恐れが出てきたんですよね。

そこで当時の首相の小泉純一郎内閣は、2004年の年金改革で、物価や賃金が上がっても、年金がそこまで上がらない仕組み「マクロ経済スライド」を導入しました。

少し分かりやすく例を挙げてみると…

以前は、10万円だったものが翌年に11万円に値上がりする物価上昇が起きたら、これに応じて10万円の年金が翌年には11万円にふえる「物価スライド」でした。

それが、10万円のものが翌年11万円になっても、年金の額を1万円増やすのではなく、調整して5,000円だけ増やすといった方法に。

つまり、物価や賃金の上昇分よりも年金が上がる率の方が低くなるので、実質的には年金をカットできるというのが「マクロ経済スライド」というワケなんですね。

ただ、景気の状況も関連して思惑通りにいかず、2021年には物価がどんなに上がっていても、賃金が下がったら年金も賃金に合わせて支給額を下げると変更されてしまいました。

そのため2021年度の年金額は、賃金の値下がりに合わせて年金も0.1%下げられています。

これからの年金給付額は更に下がっていく可能性がある

これからの「年金給付額」は更に下がっていく可能性があります。

2021年から、原油高や気候変動などの影響で、原油価格や食料品の価格が高騰し始めました。

そもそも日本は多くのモノを輸入していて、円安のために輸入価格が更に高くなり、物価高が顕著になってきています。

しかもウクライナ危機などにより、2022年は更に高くなると予想できます。

加えて、コロナ禍の影響で財政状況が悪化する企業も増え、賃金も下がった結果、それに比例して2022年度の年金給付額は、何と0.4%も下がってしまいました。

とりあえず公的年金は破綻する事はないのですが、もらえる年金は目減りするのは避けられないようです。

2040年に15%、2060年は30%目減りするかも

年金では、その時その時の経済の実情を反映するため、5年に1度「財政検証」が行われています。

かぶらば先生
財政検証とは、年金が今どうなっているのか、この先どうなりそうなのかという見通しを現状から推測し、結果を公表するものです。
2019年に行われた時のデータを見ると、2040年にはこの時点で年金をもらっている人に比べて15%ほど目減りし、2060年には30%ほど目減りしているのではないかと予想されています。
これから年金をもらう予定の人たちにとって、厳しい現実が待っているというワケなんですよね。
ここで注意事項!
「目減りするなら、もう年金のお金を納付しなくてもいいや…」といった安易な気持ちで納付をやめてしまうのは絶対NGです。
これはあなたが老後に生活するために、今から積み立てているお金。
のっぴきならない理由がない限り、必ず納付するようにしましょう。

これからの年金受給予定者は、年金の目減りを覚悟して、70歳への対応をするべし

これからの年金受給予定者のうち、年金の目減りがそれほどひどくなさそうな50代に比べて、40代は本気で年金の目減りを覚悟しておいた方がいいですね。

そもそも年金額の基準となる給料が、50台ほど多くならないでしょうし、正社員ではないフリーランスの比率も50代より高い。

そうなると厚生年金に入っておらず、国民年金に加入しているという事になるので、大半の人が「もらえるのは老齢基礎年金だけ」という事に。

ただ、年金は現役世代の所得の50%を保つ事になっていて、50%を下回りそうだったら、保険料を引きあがるなどの対策が検討されています。

まだ先の事でどうなるか確実には分かりませんが、今の40代が年金受給するのは70歳からになっているでしょうし、15%目減りしている事でしょう。

そのための心づもりと、それに向けた対応や対策を今からでも始めていく必要がありますよ。

安心な老後を送るための原則

日本年金機構の「年金ネット」に登録しておけば、40歳でもインターネットを通じて年金の見込みを試算する事はできます。

ただ、30年後という事になると、その時の状況がどうなっているのか分かりません。

そこで、もらえる年金は今の収入の4割ほどだと見込んで、以下の事を実践しておきましょう。

安心な老後を送るための原則
① 70歳まで働く
② 夫婦で働く
③ 住宅ローンなどは返済しておく

70歳まで働く

70歳まで働けば、年金をもらうまでの空白期間がなくなります。

「でも、70歳まで生きていないかもしれない…」と思うかもしれませんが、厚生労働省「簡易生命表」からすると2019年の男性寿命は81.41歳。

1989年の75.91歳に比べると、30年間で約6歳も延びていますし、働く事で年齢を重ねても若々しくいられるんじゃないでしょうか。

夫婦で働く

年金受給までに夫婦で働いて、貯蓄を少しでも増やしておく事が大切になります。

1人でお金を貯めるよりも、2人でなら貯めやすくなりますしね。

また、パートの妻でも厚生年金に入っているかもしれないので、世帯で見たら年金額そのものも少しは増えているかもしれません。

住宅ローンなどは返済しておく

特に徹底させておかないといけないのが、住宅ローンなどはすべて返済しておく事です。

住宅ローンなどは、言わば借金と同じ。

これらが残っていては安心した老後は迎えられません。

借金を払いながらの年金生活は、危険ですよ。

かぶらば先生
これらの事を実行しておけば、年金額が多少減ったとしても慌てる事はないと言えますね。

まとめ

今回は『公的年金は破綻する!?財政の現状と安心な老後を送るための原則』と題して、公的年金は破綻するのか?、財政は今後どうなるのか?、安心な老後を送るためにはどうしたらいいのか?について説明しましょた。

この記事をまとめると以下の通り。

日本が財政破綻しない限り、公的年金も破綻しない
2040年に15%、2060年には30%目減りする事が、財政検証で予測されている
これからの年金受給者は、年金の目減りを覚悟して、70歳までの対応・対策が必要になる
70歳まで夫婦で働き、それまでに住宅ローンなど返済しておく事が、安心な老後を送るための原則になる
「いつかは年金がもらえなくなる」といった話を耳にした事があるかと思いますが、現状、多少年金額が目減りしても、年金が破綻してもらえなくなる事はありません。
なので、「どうせ目減りするなら、もう納付しなくていいやっ♪」と、安易な気持ちで納付しないのは絶対にNGです。
今の経済状況を見ると心配になる気持ちも分かりますが、あなたの老後のためにも"安心な老後の原則"を実践しながら、コツコツと年金を積み立てていきましょう。

かぶらば先生
必ず年金はもらえるので、安心してくださいねっ♪
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