損益計算書を徹底解説!株式投資に役立つ読み方と作成の方法とは?

カブエ
何だか毎年の申告に損益計算書が必要なんだって。
でも見たってよく分からないし…
書き方もややこしくて面倒くさそうだし…
何の役に立つのかも分からないんだから、もう作らなくてもいいよねっ♪

カブラバ先生
確かに作成するのは大変そうですが…。
でも、損益計算書は企業の収益性を知るのに重要ですし、株の取引きの際にも知っておきたい情報が詰まった書類なんですよ!

 

毎年1度は必ず作成しないといけない「損益計算書」ですが…

実はこれ、企業の営業活動による「利益」や「損失」を把握する事ができ、"売上高や利益など企業の活動結果が分かる通知表"みたいなものなんですよね。

しかも、損益計算書に記載されている内容は企業の収益性を判断する材料の1つですし、株を取引する上でも知っておきたい情報です。

でも損益計算書を見てもややこしいですし、読み方も分からず「もーーーーーーーーっ!!」となって投げ出してしまう人も多いのではないでしょうか。

そこで、今回は『損益計算書を徹底解説!株式投資に役立つ読み方と作成の方法とは?』と題して、特別な知識がなくても最低限活用できるための基本的な内容と効率的な損益計算書の読み方や作成の方法を紹介していきましょう。

損益計算書とは?

カブラバ先生
損益計算書とは、企業の経営活動における財務上の結果を報告する財務諸表の1つです。
損益計算書のイメージ

売上費用利益

 1年間の収支合計が分かる

たとえば、カブラバ先生がケーキ屋さんを開業したとしましょう。
300円で材料を仕入れて1,000円で販売したら、700円の利益が出た。
これを損益計算書にしてまとめていけば、1年間でどれだけ儲かったのかが分かりますよね。
このように収入や支出が分かる損益計算書は、1年間の経営成績を示す決算書であり、構成要素を財務分析に利用するなど、経営戦略を立てる上でも重要な書類なんです。

損益計算書に書かれている5つの利益

実際に損益計算書を見てみると、主に以下の順番で利益が記載されています。

損益計算書の利益の種類

損益計算書

(自○年○月○日 至○年○月○日)

売上総利益
営業利益
経常利益
税引前当期純利益
当期純利益

この損益計算書に書かれている5つの利益を詳しく見てみましょう。

売上総利益

売上総利益とは、売上高から売上原価を引いたものです。
売上総利益の計算方法
売上高 ー 売上原価 = 売上総利益

販売額(売上高)から材料(売上原価)を引いた金額が売上総利益です。

「粗利(あらり)」とも呼びますね。

営業利益

営業利益とは、売上総利益から販売及び一般管理費を引いたものです。

営業利益の計算方法
売上総利益 ー 販売費及び一般管理費 = 営業利益
この販売費は販売にかかる費用で、販売部の人件費や広告宣伝費、交通費などが該当。
一般管理費は企業の「管理・運営」などにかかる費用で、役員報酬や光熱費、オフィスの家賃や文房具などの消耗品費が該当しますね。
あと、販売費と一般管理費は区別されていますが、全てを明確に区分するのはとても手間がかかるので、損益計算書ではこの2つを一緒にして計上しています。
販売費と一般管理費の勘定科目
販売費 一般管理費
・ 人件費(販売部門

・ 広告宣伝費

・ 交通費

・ 通信費

・ 販売手数料 など

・ 役員報酬

・ 水道光熱費

・消耗品費

・ 減価償却費

・ 不動産賃料 など

経常利益

経常利益は、営業外収入と営業外費用を足し合わせたもので、「経常(けいつね)」とも呼ばれます。

経常利益の計算方法
(営業利益+営業外収益)ー 営業外費用 = 経常利益
この本業以外の利益である営業外収益には貸付金の利益・保有株式の配当金・不動産の家賃収入などが含まれ、営業外費用には借入金の支払いなどが含まれます。
営業外収益と営業外費用の勘定科目
営業外収益 営業外費用
・ 受取利息
・ 受取配当金
・ 為替差益
・ 有価証券売却益
・ 貸倒引当金入益 など
・ 支払利息
・ 有価証券売却損
・ 為替差益
・ 貸倒引当金繰入 など

税引前当期純利益

税引前当期純利益は、経常利益に特別利益を加えて特別損益で引いたものです。

税引前当期純利益の計算方法
(経常利益+特別利益)ー 特別損失 = 税引前当期純利益
この特別利益や特別損失は毎年発生するものではなく、あくまで臨時的・一時的な収益です。
たとえば不動産を売却した「固定資産売却益」や建物が火災した時に発生する「災害損失」などがこれに当たりますね。
特別利益と特別損失の勘定科目
特別利益 特別損失
・ 固定資産売却益
・ 保険差益
投資有価証券売却益 など
・ 固定資産売却損
・ 災害損失  など

当期純利益

当期純利益は、税引前当期純利益から法人税などを引いたものです。

当期純利益の計算方法
税引前当期純利益 ー 法人税等 = 当期純利益
と、このように損益計算書は、売上高から費用を引いていって最終的に当座純利益を出すようになっています。
パッと見ると「こんなの…ムリだよぉ…」というくらい複雑に感じますが、大きく5つに分けて見れば分かりやすいですよ。

損益計算書の読み方で注目すべきは「利益率」と「売上高」

損益計算書の当期純利益で利益がどうだったかをチェックする事ができますが、さらに注目すべきは「利益率」と「売上高」です。

カブラバ先生
利益率とは、売り上げに対して利益をどのくらい稼げているのかが分かる指標です。
利益率が高い企業は、効率的な経営ができている企業だと言えますね。

 

この利益率と売上高が見れる読み方のポイントを押さえておきましょう。

損益計算書の読み方のポイント
ポイントになる名称 読み取れる内容 理想の数値
売上高営業利益率 管理効率 5%以上
売上高経常利益率 経営効率 5%以上
売上高販管費率 運営効率 業種によって異なる
ROA(総資産利益率) 資産の運用効率 5%以上
ROE(自己資本利益率) 資本の運用効率 15%以上

 

売上高営業利益率

カブラバ先生
売上げ利益率からは、「その企業に儲けるための力があるのか」や企業管理効率が分かります。
売上高営業利益率の計算方法
営業利益 ÷ 売上高 × 100 = 売上高営業利益率
もし営業利益がプラスだとしても売上高営業利益率がマイナスだと、経営が傾いている可能性が出てきます。
この数値の目安として1~3%が標準で、5%以上あれば優良ですね。

売上高経常利益率

カブラバ先生
売上高経常利益率では、「その会社が効率の良い経営を行っているかどうか」を判断する事ができます。
売上高経常利益率の計算方法
経常利益 ÷ 売上高 × 100 = 売上高経常利益率
営業利益率が良くても、借入金の利子などによる負担から経常利益率が低くなってしまったり、営業利益率が低いのに、配当収入などにより経常利益率が高くなったりする場合があります。
そのため、売上高経常利益率が高いほど金融収支や資金調達力なども考慮した総合的な収益性があると判断する事ができるとワケなんですね。
ちなみに目安としては1~3%が標準で、5%以上あれば優良ですよ。

売上高販管費率

カブラバ先生
売上高販管費率は「売上高に対してコストがどのくらいかかっているのか」の割合を算出して、会社運営の効率を見るためのものです。
売上高販管費率の計算式
販管費 ÷ 売上高 × 100 = 売上高販管費率
この比率が低くなるほど「効率良く会社運営ができている」という事になります。
あと、日本での売上高販管費率の平均は15%程度なのですが、業種によって数値が大きく変わる事もあるので、この比率で見る場合は同業者の他の企業と比較するのが良いですね。
ちなみに、販管費とは「販売費及び一般管理費」の事です。

ROA(総資産利益率)

カブラバ先生
ROEは、「資産または総資本に対して、どれだけの純利益が出たのか」を示し、効率性と収益性を見る事ができます。
ROA(総資産利益率)の計算方法
当期純利益 ÷ 資産 × 100 = ROA(総資産利益率)
この比率は5%以上が理想ですが、特に10%以上になるとかなり優良な企業だと言えます。
ちなみに総資本とは、返済義務のある「負債」と返済義務のない「資本」を合算したもの。
この総資本または資産は、損益計算書と同じ財務諸表の「貸借対照表」に記載されています。
総資本と資産は同じ数値で成り立たないといけないので、計算には総資本・資産のどちらを使っても構いません。

ROE(自己資本利益率)

カブラバ先生
ROEは「資本に対して、どれだけの純利益が出たのか」を示す指標です。
ROE(自己資本利益率)の計算方法
当期純利益 ÷ 資本 × 100 = ROE(自己資本利益率)
ROAでは負債も合わせて利益率を算出したのですが、このROEでは返済義務のない資本だけで利益率を算出していきます。
ROEの比率は15%以上が理想ですが、20%になると特に優良な企業になりますね。

カブラバ先生
他にも、資産がどれだけ友好的に活用されているかを見る「総資産回転率」など、いくつかあるのですが…
とりあえず押さえておきたいのは、これらのポイントですね。

損益計算書の書き方

カブラバ先生
ここでは複式簿記を記帳する流れに沿って、損益計算書の書き方を説明していきます。
損益計算書作成の流れ

① 日々の取引を仕訳する

② 巣勘定元帳に転記する

③ 試算表を作成する

④ 損益計算書を作成する

①:まずは日々の取引を勘定科目を決めて「仕訳帳」に記載していきます。
その際、表面上のお金の動きだけではなく、その取引を「借方」と「貸方」の両面から記録しておきましょう。
②:仕訳帳に仕訳を記録したら、次は仕訳帳の取引を勘定科目ごとに「総勘定元帳」に転記していきます。
③:総勘定元帳を作成できたら、次は全ての勘定科目を集計する「試算表」を作成します。
④:この試算表が完成したら、減価償却費の計算などの決算整理を経て損益計算書を作成していきます。
簡単に作成の流れを説明しましたが、実際の会社の損益計算書を作成する場合は、取引の数や集計する勘定科目も更に多くなるので、計算間違いには注意してくださいね。
あと、損益計算書を作成する延長上で「貸借対照表」も作成できれば、会社の経営状態の見直しにも役立ちますよ♪

カブエ
作成までの流れを知っておけば、損益計算書を作成するのもスムーズに進められそうだねっ♪
※貸借対照表について知りたい方は、コチラの記事で詳しく紹介しています。
でも、もし「損益計算書を作成するのは面倒くさい」「できるだけ手間をかけたくない」と思った人は、会計ソフトを使うとかなりラクになりますよ。
★私のオススメの会計ソフトはコチラ★


金融機関システムを担当していたプロが構築しており、ハイレベルのセキュリティで安心。
損益計算書も簡単に作成でき、決算書類では貸借対照表にも対応。
減価償却費の自動仕分や固定資産管理の作成も可能!
「こんなの…初めて…♡」と思う事、間違いなしです♪

まとめ

さて、今回は『損益計算書を徹底解説!株式投資に役立つ読み方と作成の方法とは?』と題して、特別な知識がなくても最低限活用できるための基本的な内容と効率的な損益計算書の読み方や作成の方法を紹介しました。

この記事の内容をまとめると以下の通り。

損益計算書は、利益や損失・売上高といった企業の1年間の活動結果が分かる財務諸表

主な利益には「売上総利益」「営業利益」「経営利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」の5つがある

損益計算書の最低限押さえておきたい読み方は5つある

損益計算書の書き方の流れを知っておく事で、スムーズに作成が進められる

損益計算書には、収益や費用、利益などその企業の1年間の事業活動結果がよく分かる重要な書類なのですが、読み方をよく分かっていなければ、ただの暗号表にしかなりません。
でもこの記事で紹介した内容を理解してもらえば、企業の収益性や効率性から優良銘柄を判断する材料になりますし、企業経営の改善にも役立ちますよ。

カブラバ先生
まずは定期的に目を通して、損益計算書に慣れる事から始めていきましょう。
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