カブエ
パパに「貸借対照表も知らないのか!」って言われちゃったよ。
でも、読み方もよく分からないし…。
別に無くても捕まったりしないんだから、貸借対照表なんて必要ないよね~♪
カブラバ先生
そんな事はありません!
毎年の確定申告にも必要ですし、何より株式投資を行う上で重要な判断材料になるモノなんですよっ。
貸借対照表は何を見れば良いのか分からず、苦手意識を持っている人は多いのではないでしょうか?
まぁ、一目見ただけで「もう…ダメぇ」となるほどややこしいのはよく分かります。
でも貸借対照表では、その企業が「どのような財産をどれだけ持っているのか?」、「借金がどれだけあるのか?」などを見る事ができます。
個人でいえば不動産や現金・預金が「財産」、住宅ローンなどが「借金」にあたります。
このように企業の安定性や安全性を見る事ができる貸借対照表は、株式投資でも優良銘柄を判断するのために欠かせません。
そこで、今回は『貸借対照表を徹底解説!株式投資にピッタリの読み方と作成の方法』と題して、知識のない人でも貸借対照表を活用できるように、貸借対照表の概要とその読み方、書類の作成方法を紹介していきましょう。
貸借対照表とは?
カブラバ先生
貸借対照表とは、企業が経営活動における財務上の結果を報告する財務諸表の1つです。
貸借対照表は、その企業が「事業資金ををどのような状態で保有しているのか?」や「その事業資金をどうようにして集めたのか?」などを見るための書類です。
貸借対照表 例
貸借対照表
株式会社かぶらば 令和○○年○月○日
資産の部 |
負債の部 |
流動資産 |
流動負債 |
固定負債 |
固定資産 |
純資産の部 |
資本 |
資産の部 合計 |
負債及び純資産の部 合計 |
上の図のように、貸借対照表は左側へ「資産」、右側へ「負債」と「資本」が記載されます。
そして負債と資本を合わせたものが「総資本」になります。
資産と総資本、それぞれの計算方法は以下の通り。
流動資産 + 固定資産 = 資産
流動負債 + 固定負債 = 総資本
あと忘れてはいけない事として、資産は負債と資本でまかなっているので、「資産=(負債+資本)」が成り立たないといけません。
つまり、"左側の数字の合計と右側の数字の合計が同じ数字にならないといけない"というワケですね。
貸借対照表に記載される資産
ここで貸借対照表の左側に記載される「資産」の項目について見てみましょう。
流動資産とは?
カブラバ先生
流動資産とは、1年以内の現金化が予定されている資産の事です。
この流動資産には、現金・預金や受取手形、有価証券や売掛金などが該当します。
また販売目的で仕入れた商品や製品の在庫を指す棚卸資産のような、会社の営業活動で生じる資産も流動資産の内に入りますね。
この棚卸資産ですが、商品だけに関わらず、事業で取り扱うものが土地や建物など不動産になれば、販売前で保有する土地や建物も「在庫」扱いになるので、住宅販売会社が保有する自社土地などが棚卸資産になります。
在庫になっている商品や土地なんて、すぐに売りさばく事ってなかなか難しいですよね。
なので、棚卸資産に関しては実際に売り上げが立つまでに数年を要する場合もあります。
とは言え、基本的に「1年以内に現金化できる資産」が原則となっていますね。
固定資産とは?
カブラバ先生
固定資産とは、基本的に1年以上も会社で使用または保有する資産の事です。
この固定資産には「有形固定資産」「無形固定資産」「投資その他の資産」の3つの種類に分けられます。
固定資産の種類
・ 有形固定資産 : 土地・建物・車など形があり、目に見える資産。「減価償却資産」と「被減価償却資産」に分類される。
・ 無形固定資産 : 営業権や特許、ソフトウェアなど形のない資産。これも「減価償却資産」と「被減価償却資産」に分類される。
・ 投資その他の資産 : 投資を目的とした固定資産や1年を超えて現金化される資産、その他の固定資産。投資有価証券や長期前払い費用などが該当する。
固定資産は積極的に会社の設備投資を行うと増えるので、会社が大きくなっていくほど増加する増加する傾向にあります。
ただ固定資産には劣化するものも多く、数年後には修理や買い替えで費用が発生する可能性も高いですね。
貸借対照表に記載される総資本
次に貸借対照表の右側に記載される「総資本」の項目について見てみましょう。
カブラバ先生
流動負債とは、1年以内に支払わなければいけない借金の事です。
流動資産には会社の営業取引で発生した債務や貸借対照表日の翌日からの1年以内に支払いの期限がくる債務、1年以内に使用される短期負債引当金や未払費用及び前受収益などの経過勘定が該当します。
基本的に流動資産の「借金バージョン」という認識でいいですかね。
この流動資産の主な勘定項目として、買掛金・支払手形・短期借入金・長期借入金(1年以内の返却予定)・未払金・未払費用・前受金・預り金・前受収益がありますよ。
固定負債とは?
カブラバ先生
固定負債とは、1年以内には支払い義務が発生しない借金の事です。
流動負債とは反対に、会社の抱える負債のうち支払いが1年以内ではなく1年以上といった、返済に時間的余裕がある負債が固定負債ですね。
これには、資金調達のために発行した社債や長期借入金、金融機関から長期的に融資を受けている借入金も含まれます。
固定負債に含まれる勘定科目としては、社債・長期借入金・預かり保証金・延長税金負債がありますね。
資本とは?
カブラバ先生
資本とは、商売など事業活動をするための元手となる資金の事です。
会社の利益や株主に出資してもらった資金の総合計で、返済や支払い義務のないお金が資本ですね。
この金額が資本金で、企業の規模や体力の目安になります。
資本金が多いほど「事業の規模が大きく、安定した経営をしている会社で、安心して取引ができる」と印象を与えるワケですね。
これらが記載された貸借対照表は、各企業の財政状態や経営状況を知る事が可能で、これからもうまく経営ができそうかどうかを判断する材料の1つになります。
貸借対照表から何が読み取れるのか?
せっかく貸借対照表を手にしたとしても、見方を知らないと「貸借対照表から何が読み取れるのか?」が分かりません。
そこで、貸借対照表の見方のポイントを押さえておきましょう。
貸借対照表から何が読み取れるポイント
ポイントになる名称 |
読み取れる内容 |
理想の数値 |
自己資本比率 |
安定性 |
40%以上 |
流動比率 |
短期的な安全性 |
200%以上 |
当座比率 |
短期的な安全性 |
100%以上 |
固定比率 |
長期的な安全性 |
100%以下 |
固定長期適合率 |
長期的な安全性 |
100%以下 |
自己資本率
自己資本率から分かるのは、その企業の安定性。
自己資本率が高いほど「多くの資本金で事業を行っている」という事になり、"健全で安定した経営をしている"といった見方ができるようになります。
この自己資本比率が40%以上なら倒産しにくい優良企業となりますし、70%以上なら理想企業となりますね。
流動比率
流動比率から判断できるのは「短期間の資金繰りがしっかりとできているかどうか」です。
流動比率が100%以上になれば短期的な支払能力は可、150%以上あれば安全、200%以上が理想です。
ただ、流動資産には棚卸資産のように1年以内の現金化が難しいモノもあるので、たとえ200%以上でも「絶対に支払能力がある」とは言い切れません。
当座比率
流動負債の返済期限が迫っている場合に、すぐに支払える資金が用意できるかどうか、つまり「短期的な支払い能力があるかどうか」を見るのが当座比率です。
この当座比率は100%あるのが理想です。
もし流動比率が200%だったとしても、当座比率が100%を下回るなら、売掛金の賃倒れなどによって実際の支払いが難しくなる可能性があるので注意が必要
ですね。
ちなみに当座資産は、流動資産の中でも現金・預金や受取手形、売掛金や有価証券など、特に資金化しやすい資産の事ですよ。
固定比率
「企業の設備投資に無理はないか」を知る事ができるのが、この固定比率。
長期的な安全性の流動比率に対して、固定比率は長期的な安全性の指標です。
1年以上使用される固定資産は返済期限のない資本でまかなうのが望ましいとされているので、この数値が低いほど良く、100%以下になるのが理想です。
この固定比率が100%を超える場合は、固定資産を資本ではなく負債でまかなっている事が分かりますね。
固定長期適合率
固定資産を流動負債でまかなっている場合、固定資産はすぐに現金化する見込みがないので流動負債の返済に行き詰まり、すぐにお金が必要になった時に現金を用意する事が出来ないといった可能性があります。
固定長期適合率は、その企業が固定資産をまかなっているのが流動負債なのか、固定負債なのかを見る事ができる指標です。
固定長期適合率の計算方法
固定資産 ÷ (資本+固定負債)× 100 = 固定長期適合率
この数値が100%を超えるようだと、固定負債ではなく流動負債でまかなっている事が分かります。
そのため、固定長期適合率は100%以下が思想とされ、その方が安全性が高いといえますね。
カブラバ先生
他にも「有利子負債月商比率」など、いくつかあるのですが…。
最低限押さえておきたいのが、これら5つのポイントですねっ!
貸借対照表の書き方
カブラバ先生
ここでは、複式簿記を記帳する流れに沿って、貸借対照表の書き方を説明していきますね。
貸借対照表作成の流れ
① 取引発生
② 仕訳帳 (仕訳開始)
③ 総勘定元帳(元帳記入)
④ 試算表 (決算)
④ 貸借対照表
①~②:ある取引が発生すると、まずは勘定科目を決めて「仕訳帳」に記載していきます。
その際、表面上のお金の動きだけではなく、その取引を「借方」と「貸方」の両面から記録しておく事が必要ですね。
③:そして仕訳帳の記載が終わったら、その内容を「総勘定元帳」に記載していき、勘定科目を「現金」や「売上」などの種類別に整理します。
④:決算の時期になると、貸借が一致しているかどうかを確認するために、総勘定元帳の各勘定科目から残高を転記した「試算表」を作成します。
⑤:この試算表から、資産・負債・資本(純資産)を抜き出して決算整理仕訳を行ったものが、貸借対照表になります。
他にも決算整理仕訳による修正の過程を一覧にした「精算表」を作る書き方もあります。
この「精算表」を使って貸借対照表を作成する事も可能なんですね。
ちなみに、収益・費用から作られるのが「損益計算書」で、会社だけでなく青色申告の時には必要な書類です。
貸借対照表を作成する過程で、損益計算書も一緒に作成しておきましょう。
カブエ
実際やってみると大変なんだけどね…💦
でも流れが分かっていると、作業もスムーズに進みそうだよっ♪
※損益計算書について知りたい方は、コチラの記事で詳しく紹介しています。
それでも「損益計算書を作成するのは面倒くさい」「できるだけ手間をかけたくない」と思ってしまう人は、会計ソフトを使うとかなりラクになりますよ。
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損益計算書も簡単に作成でき、決算書類では貸借対照表にも対応。
減価償却費の自動仕分や固定資産管理の作成も可能!
「こんなの…初めて…♡」と思う事、間違いなしです♪
まとめ
さて、今回は『貸借対照表を徹底解説!株式投資にピッタリの読み方と作成の方法』と題して、貸借対照表の概要とその読み方、書類の作成方法を紹介しました。
この記事をまとめると以下の通り。
・ 貸借対照表は、企業の経営状態や安定性・安全性が分かる財務諸表
・ 資産・負債・資本(純資産)について理解する事が大切
・ 貸借対照表の最低限押さえておきたい読み方のポイントは5つある
・ 貸借対照表作成の流れを知っておくとスムーズに進められる
貸借対照表に記載されている内容を全て理解するのは、すぐにできる事ではありませんが、この記事の内容を活用してもらえれば企業の経営状態や安定性・安全を見る事ができます。
もちろん貸借対照表だけで十分だというワケではありませんが、優良銘柄かどうかを判断するのに大切な材料の1つです。
自分で貸借対照表を作成してもらえれば、内容も読み方もしっかりと把握できるので、ぜひチャレンジしてみて下さいね。
カブラバ先生
株の売買を見直すためにも、貸借対照表を見ておきましょう!